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積みゲーマー親父の語り場(元・駄目ゲーマーとして終焉を迎えた一人の男が嘆くブログ)

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【彼女は辰人君を放さない】・4


元々勉学に励む人間じゃない。
当然授業なんか退屈で、うわの空で聞くのも毎度の事だ。
ああ、鶴島が授業そっちのけでオタク話を始めた時は別だがな。

そんな俺でも今はその退屈さに心地よさを感じてる。
少なくとも授業を受けている間、さらに言えば学校内にいる間は、あの正体不明の少女に出会う危険性が無いと思えるからだ。
さすがに校内を徘徊するには、あの特徴的過ぎる風貌では目立ちすぎるからな。
確実に通報対象だ。

問題は帰宅する時なんだが、丁度四時限目終了のチャイムも鳴った事だし、今は学食へ行く事を優先しよう。
空腹感の前では不安も霞むと思うと、つい苦笑してしまう。

「藤堂、何処行くんだ?」

席を立った俺を呼び止める聞き慣れた声。
確認するまでもないが、高木か。

「親の仇を探しに学食へ行ってくるのさ」

「ほう?そいつは聞き捨てならないな。俺も行かせてもらうぜ!」

キラッ!と歯が光りそうなハンサムスマイルと、親指をグッと立てて前に突き出した右腕。
相変わらず無駄にノリが良いな、お前は。
これで学年トップクラスの成績まで誇るのだから、まったく神様というのはつくづく不公平が好きらしい。その学力だけでも分けて頂きたいものだね。

「好――」

好きにしろと言いかけたところで、後ろからいきなり腕をつかまれた。

「私も一緒に行くよー!」

ああ、そういえばこいつもいたな。
振り返ると俺より頭一つ小さい少女が、俺の腕をつかんだままニッコリと微笑んだ。
やはりお前か、水無月。
出来ればもう少し手の力を緩めて欲しいのだが、この人懐っこそうな顔を見ると何も言えなくなってしまう。
何というか、保護欲を刺激されるというか・・・。

「ん?どうしたの?早く行かないと親の仇売り切れちゃうよー」

やばい、見入ってしまっていたか?
ふと高木を見ると軽く微笑み返してきた。何か言いたげだが聞く耳は持たんぞ?
しかし水無月、お前も大概ノリが良いな。高木とお似合いなんじゃないか?

「ああ。売り切れる親の仇というのも何だが、さっさと行った方が良さそうだ」

俺は二人と連れ立って学食へ向かった。
今日の仇はカツサンドにするか、それともヤキソバパンにするか悩みながら。

i85.jpg


続く。

テーマ:自作小説 - ジャンル:小説・文学

  1. 2009/06/10(水) 01:43:37|
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